3D CADを無料にする意味

PTC CoCreate Modeling Personal Edition(これもPEと略すらしいw)。こいつは個人で使う限りは無料で使えることを謳い文句にした3D CADである。
URLはこちらからhttp://japan.cocreate.com/ModelingPE2.cfm
ところで、3D CADを無料にしてしまうのは随分大胆である。もっとも、PTCにとって優先度が低いCADだからできるということもあろうが。このCAD、元々はCoCreate社のCADであったが、CoCreate社自体がPTCに買収されてしまった都合によってPTCの製品に組み込まれている。PTCといえば、3大ハイエンドCADのひとつであるPro/Eの開発元である。

そんなPTCにとって、新たにファミリーに加わった3D CADのメリットって、基本的には少ない。いや、無いといったほうがいいか。同じエンジンを使っているなら開発工数も少なくできるだろうが、今は基本的に別物だ。UGとI-DEASのMigrationがどれだけ大変だったかを考えると、CADのMigrationは大変。そもそも、UGとI-DEASを「一応」NXに移行させた工数は大したもんです。

さて、本題に戻って開発コストが膨大な3D CADを無料にする意味を考えよう。その理由は単純に「囲い込み」である。それもPro/Eへの。
3D CADが高価なのは、その開発工数があるため。それでいて今のものづくりは3D CADがないと成り立たない状況に移行している。2Dでもどうにかなっている分野はまだあるが、それは「今」どうにかなっているというのが実情。なので、まだまだ3D CADが入り込んでいく余地があるのが現状。
また、世界という切り口で見た場合、「不正な」3D CADが溢れているの実情である。不正?ってようはCrack品である。あの手この手で対策しても、蔓延してるのが実情。正規に購入するのは大企業ばかり。もっとも大企業でも正規の購入しないところもあるんだけどね。

そこで、無料でCoCreateをばら撒くことで、不正ユーザーを無料ユーザーに切り替えさせる。どうせ金が入らないなら同じこと。また、金銭的に変えなかったユーザーにも3D CADを広めることで、受注側にCoCreateの下地を作ることができる。また無料ユーザーへの正規版売込みや、コンサルなどの活路も広がる。
と、ここまででも十分意味がありそうだが、この先あえて工数をかけて、どこかのタイミングでエンジンをPro/Eに切り替えることで、一気にボトムをPro/Eで支配できる。
ボトムがPro/Eで固まると、トップ側にもPro/Eが入り込んでいくことになる。通常3D CADはトップダウン的にデータを渡すか、はたまた中間形式で渡すのが通常だが、精度を追求していくとDirectが一番であることは言うまでもない。


現実的には、Pro/E統合はないかもしれないが、3D CADのボトムを管理する形で支配するのは狙いだろう。そこからビジネスが広がるというもの。

ところで、今回のPEってPersonalじゃなかったっけ、と思うかもしれない。なのに記述は業務利用前提で書いてるのはおかしくね、と思われるかもしれない。さすがに業務用まで大っぴらに解放してたら、これまで購入していたユーザーへの説明が難しいだろう。相当高いソフトだし。ここらへんはまあ察するべきといったところか。


以上はあくまでも推察。なので実際本音はわからん。ただひとついえるのは、ただで3D CADを使えるってことか。ただより高いものはなんたら、とは言うけど使う分にはまあ平気でしょうw